| 適当な場所がなかったのでここで、碓氷さつし氏「ある決壊」の感想です。
まず全編を通して個々人の幸福というものに対しての僻みや抑圧といったものに対して リベラルな生き方をしようという主義を押し出しているのがなかなか着眼点が良いです。 説教臭さを差し置いても刺さる人には刺さりうる面白い話だと思います。
一方で登場人物の二人がお互い相手に興味なさすぎて、関係性が笑ってしまうくらい平行線でそこはびっくりしました。 作中の出来事がお互いにもらい事故みたいで、そういうドライさに味があります。 別れのシーンでの利害関係だけの距離感を強調するのもこだわりを感じる。
で、主人公の女の子は自由奔放な人生をやっているように見えるんだけど、 そういうのには終わりが来ることも分かっていてどこか後ろめたさを感じている。 一方で相手の白髪の子はもとより好き勝手に生きるという選択肢すらなく、 主人公のことはもはや憎しみの対象とすら映ったかもしれない。 彼女はもはや無敵の人でなんでもやれるスター状態にあるわけなので、 その対称性が掘り下げられると面白かったかもしれないと思いました。
まとめると着眼点が良くてなかなか面白い漫画だと思いました。 絵柄とかセリフ回しとかで参考にしてるものは色々あると思うんだけど、 碓氷君の人生観と合わせることであんまり読んだことないタイプの読後感が生まれていて良きかなと思います。
次回作も楽しみにしていますのでぜひ執筆を続けてください。
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