既に過去のコラムで語られている通り、ゴージャスにおいては、その「月刊」という特徴から、連載をする人は割といる。一方で、その中で最終回まで辿り着く人は多くはない。

そのため、最終回まで辿り着いた人は、このゴージャスエッセイを書いてよいという風習が存在する。私は、2回生の終わりに、幸運にも連載を完結させて、エッセイを書かせてもらった。その後、四苦八苦しながらも何とか修士の卒業間際に2本目の連載を完成させたので、2回生の時に書いたエッセイを修正することにした。これは、その修正版である。

さて、ゴージャスに原稿を載せることの意義や、連載をすることの良さについては、既に偉大なる先輩方が語ってくださっている。そのため、私のエッセイは「最終回に辿り着く方法」をテーマとさせていただいた。一応、2本連載を終わらせた人間はそんなに多くはないはずなので、多少なり参考になる話ができると考え、これをテーマとした。

さて、それでは本題に入るわけだが、「物理的な方法(具体的な工夫)」と「精神的な方法(心構え)」の2つに分けて話をさせてもらおうと思う。

「物理的な方法」として挙げることは、3つである。

1つ目は、毎月必ず最後のページに「ゴージャス○○(次の号)につづく」と書くことである。これには、自分の逃げ道をなくすという意味合いと、「連載をしている」という意識を高める意味合いがある。

2つ目は、1つのシーンに何カ月もかけないことである。これには、賛否両論あると思うので、必ずしも押しつけようとは思わないが、「連載の完結」という観点から考えれば、このほうがよい。なぜなら、例えば1つのシーンに4ヵ月かけていれば、1年で3つのシーンしか描けないからである。これではなかなか話が進まない。このような事態を避けるコツは、ネームを切る前に、あらかじめそのシーンに何ページ使うかを決めておくことである。先にページを決めておくと、案外そのページ内に収まるように、ネームは切れる。

3つ目は、絶対に休載しないこと。休載はクセになる。ヤバい。私自身も、2作目の連載の時は、同人活動が忙しかった等の理由で休載を繰り返した結果、1番長い時には2年くらい休載してしまった。1ページでもいいから、とにかく毎月出そう。話を進め続ける限りは、最終回は近づいてくる。

次に、「精神的な方法」について。こちらで挙げることは、2つである。

1つ目は、もしも連載が完結しなければ、自分が生み出したキャラクター達が、永遠に未完の物語に閉じ込められてしまうと、肝に銘じておくことである。この心構えは、私が2年の休載の後、2作目の連載の最終章の製作を行った際に、とても役立った。連載を完結させることによって、自分の生み出した大事なキャラクター達を、未完の物語から解放してあげることができるのである。

2つ目は、完璧を求めないこと。連載を続けていくと、描き直したいところが出てきたり、回収が困難な伏線が増えてきたりするなど、どうしても自分の作品に気に入らない部分が出てくることがある。そのため、完璧な作品を追い求めていると、リニューアルして1話からやろうとか、思い切って別の連載を始めようとか、思うこともある。だが、そもそも上達し続けている限りは、過去の自分の原稿がゴミみたいに見えてくるのは当たり前である。目の前の作品を完璧に仕上げようという気持ち自体は大切にして欲しいが、連載作品のような長編漫画を完結させるためには、ある程度の割り切りも必要である。

以上が、私が考える「最終回に辿り着く方法」である。あくまで、私にとっての方法なので、必ずしも他の人の参考になるかはわからないが、もし誰かの役に立てば、嬉しい限りである。

連載を続けていくのはとても大変なことではあるが、それゆえに完成した時の喜びも大きい。そして、それほどのことをやり切ることは、絵描きとしても、人としても、非常に良い経験になる。ぜひ、一度挑戦してみてはいかがだろうか。